研究概要 |
レニン・アンジオテンシン系は生体における血圧と水・電解質の重要な調節系である。本系の構成因子であるレニンとレニン基質に関しては最近著るしい進歩があり、それぞれの蛋白の一次構造の配列も明らかにされている。しかし、レニン基質の代謝調節に関してはほとんどわかっていない。本研究においては、昇圧機構にレニン基質がどのように関与しているかを、レニン基質の代謝面から研究を行ってきている。 1.高血漿レニン活性を示す病態の中で、長期間アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤内服患者と長期間腎透析中の患者において、血漿中のレニン基質濃度と脱アンジオテンシンI-レニン基質濃度を測定した。その結果、長期間ACE阻害剤内服患者ではレニン基質濃度が有意に低く、脱アンジオテンシンI-レニン基質濃度は正常人に比し有意に高かった。一方、腎透析中の患者においては、レニン基質濃度と脱アンジオテンシンI-レニン基質濃度は正常人と同じレベルであった。 2.脱アンジオテンシンI-レニン基質の作製 臨床検査に用いた血漿を貯え、硫安塩析,【DE_(52)】イオン交換カラムクロマトグラフィー,コンカナバリンA-セファローズカラムクロマトグラフィー,抗ヒトレニン基質抗体アフィニティークロマトグラフィーおよびFPLCシステムを用いて、ヒトレニン基質を現在精製している。また、脱アンジオテンシンI-レニン基質を作成するための高度に精製したヒトレニンを作成中である。
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