研究分担者 |
中野 徳 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
沼田 修 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
千葉 高正 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
林 三樹夫 新潟大学, 医学部附属病院, 文部教官助手 (60183563)
西原 亨 新潟大学, 医学部, 文部教官助手 (10183542)
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研究概要 |
1.集団検尿で諸病型の腎炎が発見されるが、比較的多い慢性腎炎で常染色体優性遺伝の良性の血尿を示す良性家族性血尿を4親等以内の範囲で家族調査をし、12家系、70例をリストアップし、HLAtypingと溶連菌成分に対するこれら症例のリンパ球の芽球化反応を検索し免疫応答性とHLAhaplotypeの遺伝様式との関連をみた。 (1)それぞれの家族内で優性に伝達されるHLA抗原haplotypeはA2,B12,DR4,A9,Bw35,DR2のhaplotype保有が溶連菌成分(streptolysin-O,吉沢・Traserらの方法で抽出した菌体成分(Preabsorbing antigen)に免疫高応答性を示した。 (2)溶連菌成分に対する免疫高応答性はHLA-DRフレームワークの単クローン抗体(HU-4,九大生物防御医研,笹月教授分譲)を添加することにより免疫低応答性に転換し、またHLA-DQw1に対する単クローン抗体HU-11を免疫低応答性患者のリンパ球培養系に添加すると、低応答性が高応答性に変り、他のHLA抗原(【I】 class)に対する抗体では有意の変化を認めなかった。すなわちHLA-DR抗原は免疫高応答性を示すIr-geneを表現するもので、特異抗原(溶連菌など)下で腎炎の進行に影響する因子と考えられた。一方Is-geneは溶連菌成分に対し低応答性を示し、之はHLA-DQ抗原に表現されるものと推測された。 (3)HLA抗原【II】Classが腎炎進行判定に臨床応用可能であることが推測され、腎炎惹起抗原を設定し、腎炎各病型について検討が急がれる。 (4)溶連菌成分の免疫応答が遺伝的に支配されていることはT細胞の反応を介しておこなわれるものであることを実証した。すなわち、IL-2の抗体およびIa抗体の添加により免疫応答が抑制されることを認めた。
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