研究概要 |
1.ヒト胎児末梢血のNK細胞活性は、姙娠後3半期にいたり出現し、姙娠月数の進むにつれ増強するが、その活性は生下時にはなお弱く、成人対照の1/2〜1/3に止まる。リンホカイン応答性についてみると、インターフェロン・ガンマ(IFN-γ)によるNK細胞活性の増強は、basal存NK細胞活性に依存し、NK細胞活性を欠く胎生20週令では、IFN-γによるNK細胞活性の誘導はみられないが、インターロイキン・2(IL-2)により、IFN-γ産生を介することなく、強にNK細胞活性が誘導される。また、新生児Leu【11^+】細胞のNK細胞活性は低いが、IL-2により成人対照レベルにまで増強され、さらに、basalなNK細胞活性を欠く新生児Leu【11^-】細胞群にも強いNK細胞活性が誘導されてくる。このような所見から、IFN-γ反応性NK細胞は、かなり分化は進んでいるが、機能的にはなお未熟なNK細胞と考えられ、IL-2反応性細胞は、より幼弱なNK前駆細胞であろうと推論された。 2.新生児期にはLeu【11^+】細胞は成人レベルに近いが、HNK-【1^+】細胞に乏しい。新生児期の抗【CD_3】誘導性細胞障害能が極めて微弱なことは、HNK-【1^+】細胞に乏しい現象と深く関連するもののようである。 3.新生児期のPHA誘導性IFN-γ産生は不良であり、3-4才にいたり初めて成人レベルに達するが、放射線照射後のPHA刺激,OK-432刺激では、新生児リンパ球でも良好なIFN-γの産生がみられ、免疫組織学的にも確かめられた。新生児期のPHA誘導性IFN-γ産生の不良な原因として、PHA刺激により、IFN-γ産生に抑制的に仂く、この時期に特徴的なサプレッサー細胞の活性化が強く起っていることが明らかにされた。このようなサプレッサー前駆細胞は、【T4^+】ヘルパー形質をもち、放射線感受性であることが判明した。
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