研究課題/領域番号 |
60480252
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山口 昂一 山形大, 医学部, 教授 (00091843)
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研究分担者 |
山際 修 山形大学, 医学部, 助手 (30143093)
細矢 貴亮 山形大学, 医学部, 助手 (50143102)
駒谷 昭夫 山形大学, 医学部, 講師 (10107188)
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キーワード | Regional cerebral blood flow / Xe-133 inhalation / HEADTOME / Ring type SPECT / Dementia |
研究概要 |
シングルフォトンエミッションCT(HEABTOME)による局所脳血流(rCBF)の測定に関し、昨年の基礎的研究に引き続き次の項目について検討を行った。 (1)呼気中炭酸ガス濃度(%【CO_2】)と動脈血炭酸ガス分圧(Pa【CO_2】):脳血流はPa【CO_2】に大きく左右されるため、rCBFの論議にはPa【CO_2】の測定が必須とされている。呼気ガスモニター装置による、rCBF測定中の呼気中%【CO_2】を連続的に則定しているが、その値と、同時に採血した動脈血のPa【CO_2】とを比較した。その結果、%【CO_2】Pa【CO_2】は、相関係数:r=0.92の極めて強い正の相関を有する事が確認された。従って、PA【CO_2】の代りに%【CO_2】を用い、Pa【CO_2】の指標とする事が実用上可能であると考えられた。 (2)老年健常グループのrCBF:67〜78才(平均71.6±4.2才)の健常ボランティアのrCBF、%【CO_2】及び簡易知的精神機能スケール(長谷川DRスケール)を測定した。平均rCBFは50.7±7.2ml/100g・minで、35〜65才のグループ(51.2±7.1)と比し有意の差はなかった。又、rCBFの年令や長谷川DRスケールとの相関は各々r=-0.34、r=0.26で、有意の相関は認められなかった。しかし、rCBFの%【CO_2】との相関はΥ=0.87の強い正相関が認められた。 (3)痴呆症例のrCDF:アルツハイマー病(AD)、アルツハイマー型(SDAT)及び多発梗塞性痴呆(MID)についてrCBFと長谷川DRスケールを測定した。平均rCBFは、いづれの痴呆でも健常グループに比べ有意に低かった。ADとSDATでは平均rCBFは長谷川DRスケールの低下の程度に比例して低下したが、MIDではその傾向は明らかでなかった。ADでは両側の側頭、頭頂菊後部のrCBF低下が目立ち、その領域のrCBFは長谷川DRスケールと特に強い相関(Υ=0.87)が認められた。 以上のような検討により、病態によるrCBFの変化を、より鋭敏に測定、評価する為の指標が大分明確になってきた。
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