研究分担者 |
平野 均 山口大学, 医学部附属病院, 医員
錦織 悟 山口大学, 医学部附属病院, 医員
梶村 尚史 山口大学, 医学部附属病院, 医員
牛島 逸子 山口大学, 医学部, 助手 (30168679)
山田 道夫 山口大学, 医学部, 教授 (00034942)
NISHIKORI Satoshi Yamaguchi University Hospital
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研究概要 |
精神作業中に前頭正中部から出現するθ律動(Fmθ)は不安水準の低下に伴い出現することから, このFmθを指標にして不安の客観的評価と不安の生物学的基盤を少しでも明らかにするために種々の検討を行った. 3日間の予備試験からFmθ出現群(12名)とFmθ非出現群(12名)を選択し, 安静時, 加算作業直前, 作業中, 作業直後に血漿カテコラミンの測定, 脳波記録, 不安水準の測定を行い, 両群の比較を行った. その結果, 不安水準の低下とともにFmθが出現するが, Fmθ出現群では安静時でも加算作業負荷時でも非出現群に比べてカテコラミン濃度が低く, 加算作業を負荷することによりFmθ出現群ではDA代謝が亢進するのに対して, 非出現群ではNA代謝が亢進した. 次に9名ずつの被験者からなるFmθ出現群と非出現群にbromocriptire2.5mg, sulpiride50mg, およびplaceboを投与して, 服薬前後のFmθ出現量, 不安水準, 血漿カテコラミン量を測定した. 同様な試験をclonidine0.15mg, yohimbine5mg, およびplaceboを使用しても行った. その結果, Fmθ出現群ではDA系活動を亢進させることによりFmθ出現量が増加して不安水準が低下するが, 非出現群ではDA系活動またはNA系活動を抑制することによりFmθ出現量が増加して不安が低下した. 28名の神経症患者と35名の精神分裂病患者を対象として, 初回検査時から10週までの間にFmθが2週連続して出現するまで, 1週間に1回ずつFmθの記録, 不安水準の測定, 症状の評価を行い, 試験の前後に血漿カテコラミンの測定を行った. その結果, 神経症においてはほとんどの患者で症状の改善とともにFmθが出現してNA系の活動も抑制された. 分裂病ではFmθが出現する群としない群とに分かれ, 出現群では抗精神病薬によく反応して主に陽性症状が改善された.
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