研究概要 |
1.精神・神経疾患患者の赤血球の蛋白カルボキシメチル化反応 最近脳のペプチドや蛋白質がカルボキシメチル化されることが報告されている。一方蛋白質のカルボキシメチル化はホルモンの反応,分泌や化学走性など機能調節に関与するといわれている。本研究では患者細胞膜の1つとして赤血球膜をカルボキシメチル化基質として用いた。また、赤血球細胞質中の2種の蛋白カルボキシメチル化酵素をミエリン塩基性蛋白質を基質として定量した。対象は精神分裂病47,うつ病10,躁うつ病8,神経症7,てんかん10,パーキシン病および脊髄小脳変性症7,その他の神経疾患10,健康人30名であった。膜の基質活性,細胞質の酵素活性2種いづれでも、患者と健康人との間に有意差を見出せなかった。 これらの患者の治療に用いられている薬物と酵素や基質活性との間にも差を見出さなかった。種々の向精神薬物を酵素反応液中に添加したがカルボキシメチル化反応はわづかに抑制されるのみで、薬物による特異な変化は認められなかった。 2.カルモジュリンに特異的に作用するリシンメチル化酵素 本酵素は昨年度ラット脳から精製(X7,O80)し、性質を報告した。本年度はメチル化されたカルモジュリンの分析を行なった。その結果トリプシン消化物で107-126のペプチドにメチル化が限定し、しかもリシン残基の特異的トチル化であることから、115のリシン残基がメチル化され、モノ,ジ,およびトリメチルリシンとなっていることを明らかにした。この部位のメチル化の意義は検索中である。 3.ハイプシン含有蛋白の精製 この反応は蛋白のポリアミンによる修飾で合成される。これをラット肝から精製中である。この蛋白は1種類であるようでポリアミンそのものも含まれている。
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