研究課題/領域番号 |
60480266
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
坂本 信夫 名大, 医学部, 教授 (70023760)
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研究分担者 |
深沢 英雄 名古屋大学, 医学部, 医員
木村 雅夫 名古屋大学, 医学部, 医員
角田 博信 愛北病院, 部長 (00135336)
堀田 饒 名古屋大学, 医学部, 講師 (60023793)
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キーワード | AR阻害剤 / 糖尿病性神経障害 / 糖尿病性網膜症 / polyol代謝 |
研究概要 |
1.動物実験的検討:(1)糖尿病性神経障害:MNCVおよび組織所見を指標とし、5〜8ケ月間という長期観察を行った。MNCVは72%果糖食飼育STZ糖尿病ラット>STZ糖尿病ラット>高果糖食飼育正常ラット=正常ラットの順で遅延が顕著、この遅延はAR阻害剤(ONO-2235)でほぼ正常に回復した。これらMNCVの遅延は、腓腹神経を用いた電顕的組織学検索での所見(<1>髓鞘の厚さが薄く、<2>軸索の鋸歯状変化)と一致し、いずれもAR阻害剤の投与で改善した。(2)糖尿病性網膜症:高果糖食で5〜8ケ月間飼育したSTZ糖尿病ラットの網膜病変を電顕的組織学検索で追究した。高果糖食STZラットの網膜でpericyte消失および毛細血管基低膜の肥厚が著しく、これら異常所見もAR阻害剤添加餌の飼育で出現が著しく抑制された。 尚、自然発症糖尿病マウスyellowKKを用いた糖尿病性神経障害に関する研究は、現在進行中である。2.臨床的検討:(1)糖尿病性神経障害:昨年度は、AR阻害剤の1ケ月という短期効果を報告して来たが、今年度は1年間という長期観察を行った。自・他覚症状とも、1ケ月に比し12ケ月で改善が著しく、赤血球sorbitolおよびGAR活性とよく一致した。この事は、糖尿病性神経障害の発症にpolyol代謝の関与が強く示唆されると共に、その対索にAR阻害剤の有効性を物語るものである。(2)糖尿病性網膜症:昨年度の6ケ月間の成績に比べて、AR阻害剤投与1年間という長期観察で、ERG,PSRTという電気生理的所見および眼低(蛍光造影も含)所見の著しい改善が観察された。特に、非増殖性網膜症への効果が著しく血糖コントロールとは余リ関係が無かった。 これら臨床的検討は、現在も経過観察中で2年目に入っている。
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