研究課題/領域番号 |
60480268
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松澤 佑次 阪大, 医学部, 助手 (70116101)
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研究分担者 |
山下 静也 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60243242)
亀田 芳 大阪大学, 医学部, 助手 (00161240)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 高HDL血症 / 肝性リパーゼ / 【HDL_2】 / 【HDL_3】 / 角膜混濁 / 動脈硬化コレステロールエステル転送活性 / CE転送蛋白 / LDL受容体 / 家族性高コレステロール血症 |
研究概要 |
1.症例の研究:我々は、若年発症の角膜混濁を伴う高HDL血症の2症例を発見したが、これらの症例では、【HDL_2】分画への著るしいコレストロールエステルの蓄積,アポEの増加と共にその粒子サイズの増大が特徴であった。本例では、肝性リパーゼ活性の低下と共に、リポ蛋白間のコレステロールエステル転送活性(CETA)に異常が認められた。即ち本来HDLからVLDL+LDLへの方向にCEが移動するのに対し、本例では単にVLDL+LDLからHDLの方向つまりHDLにCEの蓄積する方向に移動することが明らかになった。我々はさらに新らたに、CETAの完全欠損を示す3例を発見した。これらの症例では、角膜混濁や動脈硬化は現時点では合併していないしかしCETA完全欠損例ではHDLのみでなくLDL分画にも著るしい変化が認められ、粒子サイズの本均一性、平均粒子サイズの縮少が存在した。 2.薬剤によるCE転送の変化:角膜混濁を伴う高HDL血症に対し高脂血症治療薬であるプロブコールを投与したところ、【HDL_2】分画のコレステロールの特異的な減少が起こり、ほぼ【HDL_2】-コレステロールは正常化した。それに伴って【HDL_2】粒子径は縮少(正常化)しまたCEのnet転送も、治療前では逆にHDL→VLDL+LDLの方向へ正常に変化した。本薬剤はLDL受容体異常による家族性高コレステロール血症に用いられHDLコレステロールの低下をもたらすにかかわらず黄色腫等の脂質蓄積を明らかに退縮させた。本症においてもHDL粒子サイズは縮少し、HDL-Cが低下した例程、退縮も大きいことからプロブコールがHDLを介したコレステロール転送を促進し、組織に蓄積したCEを取り出し肝臓への輸送を活発にしていることが推察された。 3.以上の本研究によりHDLコレステロール輸送における重要性を確認すると共に、その機能異常例の存在を示した。
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