1)60年度計画のポリミキシンB(PL)を繊維に固定化し、遊離が無いことを確認する実験:α-クロルアセトアミドメチル化を行ったポリスチレン繊維に硫酸ポリミキシンBをハロゲン化反応にて固定化したPMX-F(P-15)と縮合反応を用いてサクシニル化ポレスチレン繊維にPLを固定したPMX-F(P-17)の2種類作製した。PLのPMX-Fからの遊離はPMX-Fとインキュベートした上清を生物学的に調べた結果認めなかった。又デイスク法にてもPMX-F周辺に阻止円形成はなかった。 2)PMX-Fによるエンドトキシン解毒効果のin vitro評価:PMX-Fを使用し、エンドトキシン(Ecoli:0111 B4)含有生食液(0.5mg/ml)をBatch法にて1時間処理後の溶液をマウス死亡率で検討した。対照群は100%(24/24)であり、治療群は24%(5/21)の死亡率で有意に減少した。又同様に処理したエンドトキシン溶液を家兎に静注し家兎発熱テストを行った。PMX-F処理により家兎の発熱は見られなくなり低い濃度(ng)レベルでエンドトキシン解毒が可能と分かった。3)エンドトキシンシヨツク犬に対し体外循環法により治療実験を行いPMX-Fを評価する:PMX-Fが直接灌流法にても行い得たので血漿灌流の計画を変更し直接灌流(DHP)とした。 回路内にPMX-F(5g)を充填したカラムを組み入れ、直接灌流法(DHP)にて、治療実験を試みた。Et血症犬モデルはEt(E.coli:0111 B4)を雑種成犬に0.5mg/kgを点滴にて総量1時間投与し、同時にPMX-FによるDHPを2時間行った。Et静注のみの対照群では、生存率は12.5%(1/8)であったが、治療群では83%(10/12)と有意に上昇した。 今後敗血症モデルによる評価も行い、臨床応用に向け、材料の生体適合性の評価、向上と、安全な治療法を確立するための臨床前実験を行う。
|