研究概要 |
1。膵癌関連抗原(PCAA),膵組織抗原(PaA)および胎児膵細胞に対するモノクローナル抗体。膵癌由来PCAA(PCAAp)に対するモノクローナル抗体を作製した。うち2株は大腸粘膜との反応性が弱く膵癌に特異性が高いと考えられた。現在、抗原の性状と臨床的意義を検討している。ヒト胎児膵細胞に対するモノクローナル抗体、FP-1,FP-2,FP-3はそれぞれ導管,腺房,島細胞に特異的に反応する抗体である。FP-1は膵癌組織と16/23例と高率に反応しそのエピトープはペプタイドと考えられた。FP-2は分子量5万の物質の糖鎖を認識していた。FP-3はAPUD系腫瘍と幅広く反応しその染色像から既知の22種類のホルモンや糖蛋白と異なる物質を認識していると考えられた。 2。CEA免疫複合体(CEA-IC)の検出並びに抗CEA自己抗体の分離。CEA免疫複合体(CEA-IC)の測定に関しては昨年報告したが、今回胃癌患者腹水からCEA-ICの単離を行った。CEA-ICは2.5%PEGで沈殿し、分子量40万以上の高分子領域に検出された。抗CEA自己抗体の分離には成功しなかった。 3。糞便中癌組織由来CEAの検出。糞便中癌組織由来CEAの特異的検出法に関しては正常大腸にも微量ながらCEAが存在することから測定系に用いるモノクローナル抗体(組み合わせも含めて)の選択が今後の課題と考えられた。 4。モノクローナル抗体による画像診断並びに治療。癌に対するヒト・モノクローナル抗体の作製に着手した。また、単クローン抗体による画像診断の基礎的検討として、超電導NMRシステムを用いた【^(19)F】-MRIによるイメージングの検討を行っている。
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