研究分担者 |
壁井 信之 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 講師 (50096583)
由井 伸彦 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 助手 (70182665)
山田 則子 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 助手 (50107314)
片岡 一則 東京女子医科大学, 医用工学研究施設, 講師 (00130245)
大河原 久子 東京女子医科大学, 糖尿病センター, 助手 (10075468)
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研究概要 |
生体細胞と人工材料の両者の長所を組み合わせたハイブリッド型人工膵臓は糖尿病患者の糖代謝などの諸機能の生理学的ホメオスタシスを長期間に渡って維持できるので, 疾患の治療と副作用の予防とに関しては機械的インスリン注入装置よりもさらに優れた効果を発揮することが期待される. 本研究では第一にプラスチック・プレート上に培養した分離ラ島細胞のインスリン, グルカゴン等のブドウ糖濃度に対する応答的分泌機能などのviabilityを長期間に渡って維持するためには, 培養液に3-isobutyl-1-methylxa〓thine(IBMX)を添加して得られる単〓培養が有効であることを, まずin-vitroの長期観察によって確認した. 次に培養細胞を宿主に移植した際に生じる免疫学的拒絶反応を防止するため, 培養プレートをプラスチック製リング状ホルダーに載せ, 多孔性の高分子半透膜によってこれを密封したdiffusion Chamber〓〓(FDC)式のバイオ型人工膵を開発した. マウスまたはラットから得た培養ラ島を用いたDC式人工膵を, ストレストゾトシンによる糖尿病マウスの腹腔内に埋め込み, 血糖値の推移をみたところ, 同系移植の場合には約100日間に渡り血糖値の正常化を認めたが, 異種移植の場合にはある程度の高血糖改善が60日間程度得られたにとどまった. DC式装置においては, 培養細胞と宿主とを隔てる半透性高分子膜が重要なポイントになる. この膜は, ブドウ糖, インスリン, アルブミンなどの有用成分については良好な透過性を持ち免疫グロブリン, リンパ球などの免疫関連物質についてはその透過を防ぐバリヤー性が必要となる. 本研究では, 孔径0.03〜0.6μm膜厚10〜50μmの合成高分子膜と生体の腎皮膜とを検討し, 孔の形状がストレートな0.03μm孔径の高分子多孔膜と腎皮膜が比較的良好であることを確めたが, さらに優れた膜材料の開発が求められよう.
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