研究概要 |
我々は昭和56年以来、現在までに170種以上のポルフィリン,フェオフォルバイド系誘導体及びそれらの金属錯体を合成し、【N_2】-pulsed laser spectrofluorometry法を用いて、側鎖構造と腫瘍組織集積性につき検討し、秀れた腫瘍集積性誘導体を開発してきた。今回はこれらの基礎的研究の成果を癌の画像診断に応用しようと考え検討してきたが、最近2つの面で臨床応用可能と思われる製剤の開発に成功した。1つは世界で使用されている腫瘍陽性シンチグラム製剤【^(67)Ga】-citrateを上まわる新しい腫瘍陽性シンチグラム剤【^(111)In】-mono-DTPA-ethylenglycol-Ga deuterparphyrinで本剤はgoldenhamster移植膵癌,SHR移植乳癌,Lewis肺癌,ヌードマウス移植人肺癌などの腫瘍系で【^(67)Ga】-citrateをしのぐ腫瘍組織に対する集積性及び他の組織とくに血液からのすぐれた排泄性を示して明瞭な腫瘍陰影を得る事が出来ると共に更に特徴的な事は、【^(67)Ga】-citrateが炎症巣に集積するのに反して【^(111)In】-mono-DTPA-EG-Gadeuterporphyrinは、炎症巣に集積せず、【^(67)Ga】-citrateをしのぐ新しい腫瘍陽性シンチグラム剤として応用可能な事が次第にはっきりしてきた。現在診断が困難な肺癌,膵癌の臨床に用いるべく毒性テストを施行している。 更に最近の我々の研究の進歩は京都大学農学部食品工学小清水教授のもとで発見された世界最長の吸収波長をもつbacterio-pheophorbideの腫瘍集積性の附加に成功した事で、現在この誘導体が腫瘍診断にどの程度役立ちうるか動物実験を継続中である。
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