第一の研究目的である左房分離手術の問題点を探るために成犬4頭を用いて実験を行った。実験はウィリアムズらの方法によったが、心室細動より戻らなかった1頭を除いて左房の電気的分離に成功した。急性実験では特に問題となるようなところはなかったが大げさな手術となり、簡単に施行することはできないという点がしいていえば欠点としてあげられた。しかし、技術的には可能であり、臨床的にも十分応用できそうなことがわかった。第二の目的である新しい方法の開発は、結果として失敗に帰した。房室結節とヒス束の電気的連続性及び房室結節の自動能を保ったまま房室結節を心房より電気的に切離する実験を行ったものの、心室細動となった1頭を除き、すべて完全房室ブロックとなり房室結節とヒス束の間の電気的連続性を保つことができなかった。失敗の最大の原因は犬の心臓に比して凍結装置のプローベが大きすぎて広範囲にわたって心房が凍結されてしまい、結果として房室結節まで凍結されてしまったことが考えられた。この点について改良を加える予定である。
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