研究分担者 |
筏 義人 医用高分子研究センター, 材料, 教授 (00025909)
松本 雅彦 , 医学部心臓血管外科, 医員
小西 裕 , 医学部心臓血管外科, 助手 (70111953)
伴 敏彦 , 医学部心臓血管外科, 教授 (00173120)
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研究概要 |
現在、EPTFE,ダクロン等を素材とした各種人工血管が臨床使用されている。しかし、細動脈への適応となると、これらの人工血管は開存率が不良で、自家静脈グラフトが第一選択とされているのが現状である。筏らにより開発された抗血栓性人工血管は、非多孔質性の平滑な表面をもつポリウレタンに、非イオン性水溶性鎖の表面グラフト重合が施されている。この抗血栓性表面は、in vitroで蛋白質吸着,血小板粘着の抑制が確認され、in vivoではラット頸動脈への移植実験で長期開存が得られていることから、冠動脈バイパス用,小口径人工血管としての応用が期待される。 イヌ動脈への移植実験を行い、組織,血液適合性実験を行った。移植後、近位側および遠位側吻合部,グラフト中央部分の3ケ所をSEM標本とした。抗凝固療法グループとして、アスピリン40mg/kg静注した。 アスピリン投与群は全例開存した。血流再開後30分後には、変形し偏平化した白血球で、グラフト表面全体が被われた。さらにその上にも少数の白血球粘着が見られたが、ポリウレタン表面に直接粘着した白血球に比べると変形は軽度であった。1時間後,2時間後も同様の結果が得られた。また血小板粘着はほとんど見られなかった。22時間後には粘着した白血球は境界不明瞭となり形態を失っており、グラフト表面は均質な薄層で被われた。 ポリウレタン人工血管表面を非イオン水溶性モノマーのアクリルアミドをグラフト重合し、その抗血栓性を検討したが、人工血管表面は血小板および白血球粘着により修飾され、移植前の表面は維持されなかった。
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