研究概要 |
解離性大動脈瘤の急性期を乗り切るため,バル-ンカテ-テルによる解離口の一時閉鎖を目的とし,現在までに3種類のバル-ンカテ-テルを試作した。試作したカテ-テルは,a.Umbrella Type, b Double Balloon Type,C.Spiral Balloon Yype であり,aとcについては回路による実験をbについては犬を用いて実験を行った。aに用いた回路は、閉鎖回路で、回路内の流量を1.81/minから2.71/minにまで段階的にあげ、inflow、Entry,Oufflow部分の圧を測定し,アンブレラを開きバル-ンを膨張させたところ,Entryは完全に閉鎖され,バル-ン前後での圧較差も認めなかった。bについては,犬の腹部大動脈からカテ-テルを挿入し胸部大動脈の高さで膨張させ,Entry閉鎖を試みた。バル-ン前後の圧較差は認めなかったが,Entry閉鎖は不充分であった。cについては,人間の大動脈に解離が発症した状態類似の回路を作成し,Entryの大きさを0.5×1cmから1×2cmの大きさに可変させ,造影剤を含んだ水を,定常流及び拍動流ポンプで循環させ,DSAのる不撮影によりEntry閉鎖の状態を観察し,バル-ン前後の圧を測定した。回路内圧を200mmHgにまで上げ,バル-ンを膨張させたところ,バル-ン前後で圧較差は認めず,Entryを1×2cmの大きさまで大きくしても,Entryはバル-ンカテ-テルにより完全に閉鎖された。 以上3種類のバル-ンカテ-テルを試作し実験を行ったが,aについてはEntryの閉鎖は完全であるが,構造がやや複雑であるため小型化には問題が残ると考えられた。bについては,構造が単純であるため小型化が可能であるがEntry閉鎖が不完全であると考えられた。cについては,構造がaより単純であり,全同圧迫型であるためEnrty閉鎖も完全でありさらに小型化すれば実用化の可能性がもっとも高いと考えられた。
|