研究分担者 |
中村 孝夫 国立循環器病センター, 生体工学部, 室員 (00142654)
関 淳二 国立循環器病センター, 生体工学部, 室員 (20163082)
岩田 博夫 国立循環器病センター, 人工臓器部, 室員 (30160120)
松田 武久 国立循環器病センター, 人工臓器部, 室長 (60142189)
阿久津 哲造 国立循環器病センター, 研究所, 副所長 (40150221)
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研究概要 |
人工心臓ポンプへの応用を考えて、東洋紡績社の3種類のセブメント化ポリエーテルポリウレタン、及びエチコン社のバイオマー,アブコ社のアブコサン51について、引張試験,疲労試験,並びにX線光電子解析装置による表面層の組成分析を行った。その結果、バイオマーと、ソフトセグメントのPTMGの分子量が2000の東洋紡績社TM5が、ポンプ膜材料として必要な柔軟性,強度,靭性に優れることが明らかになった。また、PTMGが850のTMIは硬くて強度が高く、延性が低いのでカニューラやポンプハウジングなどの構造部材に適し、PTMGが1350のTM3は、血液適合性に優れる表面組成を有するので、血液接触面に有用であることがわかった。次いで、TM5とバイオマーを用い、耐久性を評価し、疲労寿命を予測するための加速試験法を開発するための基礎データを得る目的で、疲労挙動に及ぼす試験温度と繰り返し速度の影響を調べた。その結果、材料の弾性を表す応力振幅/ひずみ振幅比は0.8Hzから5Hzの間で周波数にほとんど依存せず、また24℃と37℃では温度の影響を受けないが、50℃では変化が生ずることが明らかになった。これらの実験結果は、温度50℃で周波数として5Hzの加速疲労試験が、これらの材料の耐久性の評価に利用できることを示している。 最後に、TM5を用いて37℃に保持した生理食塩水中で、50%の平均ひずみに、15%のひずみ振幅を5Hzの周波数で重疊させる耐久試験を行ったところ、毎分100回の心拍数に換算して約3.8年の間材料が破損しない結果が得られた。しかしながら、この間の平均応力の低下は破断時まで続き、これより人工心臓ポンプの長期間利用にあたっては、リラクセーションの問題が大きいことが指摘された。
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