研究課題/領域番号 |
60480338
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荻原 義郎 三重大, 医学部, 教授 (20024755)
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研究分担者 |
鈴木 勝美 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60154530)
塩川 靖夫 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (80115708)
藤澤 幸三 三重大学, 医学部, 助教授 (30024706)
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キーワード | ヒト骨巨細胞腫の培養 / ヒト骨巨細胞腫の継代移植 / ヒト骨巨細胞腫の組織起源 |
研究概要 |
骨巨細胞腫はいまだにその組織起源に関して一定の見解が得られていない非常に興味深い腫瘍である。我々はこれまで教室で継代されているヌードマウス可移植性ヒト悪性骨巨細胞腫を用いて本腫瘍がマクロファージ由来であるとの考を強調して来た。今年度も引き続きさらにその点を検討する目的で以下の実験を行った。 実験 【I】 材料 手術によって摘出された3症例の骨巨細胞腫および当教室で継代移植されているヌードマウス可移植ヒト悪性骨巨細胞腫が用いられた。【II】 方法および結果 (1)形態学的観察 得られた腫瘍細胞は光顕的、電顕的に形態学的な検討が加えられ、基質細胞中にマクロファージ類似の細胞が存在する事が認められた。また組織起源を検討する際にいつも問題になる多核巨細胞を、それが全て消失してしまった細胞集団より再発出現させるべく、宿主の骨と共に培養を続けて来たが、現在迄に再出現してはいない。(2)細胞機能的観察 ヌードマウス可移植性ヒト悪性骨巨細胞腫の腫瘍細胞のコラゲナーゼ活性を測定した結果、コントロールとして用いたHeLa細胞、ヒト骨肉腫細胞に比べ、はるかに高い活性が多核巨細胞、類円形基質細胞で認められた。細胞機能的にそれらの細胞の由来がマクロファージである可能性が示唆された。(3)Surface Maker による観察 (A)免疫組織学的観察 d-1 Antitrypsin(AT),d-1 Antichymotrypsin(ACT),lysozyme(LYS)の局在を3例の骨巨細胞腫と1例の悪性骨巨細胞腫べ検討した結果、初代培養細胞では基質細胞、多核巨細胞の両者でこれらが陽性であったが、継代培養されるに従い陽性細胞は存在しなくなった。(B)組織化学的観察 non-specific esteraseの局在を検索した、基質細胞、多核巨細胞共に陽性であり、(A)(B)の結果より上述の細胞がマクロファージ的性格を有している事が示された。
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