研究概要 |
骨量計測により本年度に得られた結果は以下の如くである。 1.健常者の橈骨骨密度は骨成長の停止以後も増加し、25〜30歳でピークに達し以後加齢とともに減少する。骨密度の加齢的推移は皮質骨と海綿骨では異ったパターンを呈し、皮質骨は加齢とともに直線的に増加、減少するのに対し、海綿骨は思春期および閉経期を境にして2相性に増加、減少する。骨密度の維持はホルモンに依存する点が大である。 2.ホルモン異常による骨密度・骨成長障害を検討した。 下垂体機能は低下では橈骨長、橈骨幅は短かく、骨密度も低く、実験的下垂体摘出ラットのミクロラジオグラムの所見と壱致した。成長ホルモンの過剰分泌による末端肥大症では健常者より高い骨密度を呈した。 甲状腺機能低下性こびと症では橈骨長,橈骨幅,骨密度が認められるのに対し、甲状腺機能亢進では骨成長は障害されないが高回転性骨粗鬆症の結果、骨密度が有意に低下する。骨密度と甲状腺ホルモン【T_3】【T_4】の血中濃度は逆相関を呈した。 女性ホルモンの分泌欠損によるターナー症候群では骨成長障害とともに骨密度の低下も認められた。 ステロイドホルモン投与患者では、現在小児科で使用されている投与量では骨の成長障害はほとんどみられない。骨密度はグルココルチユイドの骨芽細胞の骨形成抑制に由来する低回転性骨粗鬆症のため低値を示す例が夛い。 3.慢性関節リウマチでは、炎症と不用性の局所的骨粗鬆化が認められた。なお、ビーグル犬による骨粗鬆症のADFR治療の実験的研究は現在進行中である。
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