研究概要 |
雑種成犬を用いて、トロンビンとエンドトキシンを静注し、呼吸、循環、血球数、アンギオテンシン変換酵素ACE、補体を測定した。両者ともに循環抑制が強く、白血数、血小板数の減少が認められ、血小板活性化因子阻害剤CV3988の投与により、トロンビンでは回復傾向を示した。又ACEにおいて、エンドトキシンでは、増加傾向を示したのに対し、トロンビンでは減少し、肺塞栓症に対するCV3988の有効性が考えられる。呼吸管理を必要とする多臓器不全で、入室後と退室又は死亡前の2点において、【C_3】,【C_4】,【C_5】CH50,OKT4,OKT8,OKIa1を測定し、またPHA,CoAによるリンパ球幼若化試験を行った。生存群、死亡群各6例の各因子の動態を検討した。両群とも【C_3】,【C_4】,【C_5】溶血活性は上昇傾向を示したが有意の変化は認められなかった。OKT4,OKT8は生存群ではほぼ正常範囲で経過するが、死亡群では入室時より25.3,17.2%と低下しており、死亡前には生存群に比べ有意の低下を示した。OKIa1は、両群とも高値を示した。リンパ球幼若化試験は両群とも正常の1/4に抑制されており、経過中に回復はみられなかった。以上のことより、補体系の変動は大きくないが、Tリンパ球は強く抑制されており、OKT4,OKT8の動態を知ることは臨床上良い指標となると考えられた。またB細胞,活性化T細胞は反応的に増強していると示唆された。MOF、意識障害患者で、自律神経系も関与していると考えている。頚部症侯群患者で、自律神経系遮断目的で全脊椎麻酔を行い、EEG、ABR、SSEPを測定した。EEGは低振幅速波、ABRではI波以降各波が、SSEPではN【3!-】とN【20!-】成分が潜時延長と振巾低下を示し消失、回復を認めた。非侵襲的【^(33)X】クリアランス法による局所脳血流量測定では一定の傾向を示さなかった。ナロキソンを投与して、ABRの各成分に高振巾化を認めた。
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