研究概要 |
1.間歇的陽圧人工呼吸下の食道内圧と体位の関係:昭和60年度の研究で自発呼吸下スパイログラム及び食道内圧と体位の関係を調べ、体位の変化が最も大きく影響するのはFRCで、60度から仰臥位まですべて立位より有意に減少すること、クロージングキャパシティは仰臥位になると有意に上昇すること、食道内圧は仰臥位で有意差がある上に心拍動の影響が大きいことが判った。本研究の臨床的応用のためには意識のない患者について仰臥位から少なくとも30度のファウラー体位での測定が可能でなければならない。そこで今回は間歇的陽圧人工呼吸下の患者について、人工呼吸時の気道内圧変化、食道内圧変化、血圧,心拍動の点から体位の影響を調べた。その結果、意識レベルの低い患者及び循環動態の不安定な患者程体位による影響が大きいことが判ったので、病態に応じた気道内圧,食道内圧の体位との関係を多数例で検索する必要が生じた。 2.ドリンカー型陰・陽圧人工呼吸器自作上の問題点:自発呼吸下スパイログラムで努力性吸気につぐ最大呼気を健康被験者に行わせると食道内圧圧差は最も高いもので40mmHgに達した。したがって自作のドリンカー型人工呼吸器内の陰陽圧圧差は少なくとも40mmHgはなければならない。現在自作使用中のものは気積が390lで人体が入ったとして約60l減少して330lになる。人工呼吸器内圧力変化としては大気圧±20mmHgを要するため出入の容量変化としては19lが必要である。現有のエアコンプレッサーの送気速度は1.2l/秒,真空ポンプのそれは2.2l/秒で安静呼吸の操作は可能であるが努力呼吸時の予備力が少ない。現在、患者の輸液やモニターのラインを通す箇所からのエアリークの問題が充分解決されていないので、気積を減らすこと気密性を向上することが当面の課題である。
|