研究概要 |
水中衝撃波の生体に及ぼす影響について1)iN ViTROにおける基礎実験,2)動物実験,3)臨床応用における検討を行った。 1)iN ViTROにおける基礎実験(衝撃波発生は微小爆発による) 水中衝撃波のフォーカシング状態を高速撮影写真で観察すると微小なキャビテーション気泡が観察された。キャビテーション気泡が残存している状態でさらに衝撃波が加わると気泡からジェット流が発生した。こうした現象が衝撃波自体の高圧力に加えて生体に対し破壊的に作用していることが示唆された。また衝撃波の伝播は厚さ3mmのポリエチレンフォームでほぼ完全に遮蔽されることが判明した。ヒト血液,培養癌細胞に対する影響では約50回の衝撃波暴露によって赤血球には溶血が認められた。癌細胞では細胞数の減少はみられるものの増殖能は維持されていた。しかし100回の暴露では増殖能も消失した。これらの結果から癌に対する衝撃波療法の可能性が示唆された。 2)動物実験(衝撃波発生は微小爆発による) 臨床応用に供した体外破砕機をもちいて犬による動物実験を行った。100〜200回のフォーカシングした衝撃波では腎及び他の腹部臓器にほとんど影響はみられなかったが500回の暴露では出血性変化が認められた。しかし3か月後には組織内には線維化性変化がわずかに認められる程度であり臨床的には問題がないと考えられた。 3)臨床応用における検討(衝撃波発生は微小爆発による) 【^(99)m】Tc-DMSAによる体外結石破砕前後の摂取率から腎機能をみると、統計的に変化はみられなかった。しかし破砕された結石が尿管内に長期的に停滞した例では腎機能障害がみられた。腎機能には衝撃波そのものより水腎状態の発生が問題になると思われた。
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