TPA-RIAキット(第一ラジオアイソトープ)を用いた尿中TPA測定値の安定化について、種々の検討を重ねて来た。当初、尿の前処理として1.0μmのフィルターで瀘過する方法を検討して来た。尿中TPA値は、フィルターを用いた前処理によって総じて低下することが認められたが、血清TPAあるいは界面活性済で処理した標準TPAではフィルターの瀘過によって測定値に変化が見られなかった。そこで尿中TPA値の不安定性の一因として、尿中TPAが尿中他物質やTPA同志の間で付着あるいは重合を生じていることが推察され、以後は、測定キットに添付されている標準TPA希釈液に含まれているところの界面活性剤(Tween40)を、測定前処理として各検体に加えることを試み、良好な成績が得られた。 〈方法および結果〉(1)83尿検体について、従来通りの側定法と、尿にTween40を最終濃度4%添加した方法の間で比較した。従来法による尿中TPA値は160.8±154.9U/Lであったのに対し、Twee40の処理によって201.9±177.8U/Lと有意に高値を示した。(2)24時間尿を扱う上での問題点として、経時的尿中TPA値の変化について20検体で検討を加えた。隨時尿にTween40を添加したものと添加しないものを、24時間室温放置した後測定に供した。後者はさらに、従来の方法および測定直前にTwen40を加えて測定したものとに分類した。その結果、Tween40を加えない従来の方法では低値を示し、Tween40添加による効果は、室温放置前後で差をみなかった。(3)さらに、尿への標準TPA添加による回収率を8検体で検討した。キット添付の希釈液あるいはTween40を用いない場合は64.4±9.1%であったのに対し、尿および標準TPAをTween40で処理することにより回収率は100.9±5.3%となった。 以上の検討結果は、第75回日本泌尿器科学会総会にて報告する予定である。
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