研究分担者 |
青枝 秀男 和歌山県立医科大学, 泌尿器科学, 助手 (50191846)
吉田 利彦 和歌山県立医科大学, 泌尿器科学, 助手 (00174938)
深谷 俊郎 和歌山県立医科大学, 泌尿器科学, 助手 (10183584)
吉田 全範 和歌山県立医科大学, 泌尿器科学, 助手 (90182782)
森本 鎮義 和歌山県立医科大学, 泌尿器科学, 講師 (20094683)
UEKADO Yasunari Wakayama Medical College
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研究概要 |
尿路感染症例での尿中TPA偽陽性を改善すべく, フィルター処理による尿中TPA測定の検討から本研究は開始されたが, その結果尿などの水溶液中では尿中TPAは極めて吸着および凝集され易い物質であることが明らかとされた. そこで, 界面活性剤であるTween40による尿検体の稀釈処理によって, 尿中TPAの吸着および凝集が消失されたことから, 改めて尿中TPA測定上における基礎的事項について再検討を行った. すなわち, 標準TPA添加回収試験および稀釈試験において, Tween40処理の有無によって明らかな差が認められ, Tween40による尿検体処理の正当性と必要性が実証された. また, この場合尿とTween40とは2時間以上の混和処理が必要とされることも示し, 尿中TPA測定上の改良を提起した. 尿検体の保存方法についても検討を加え, Tween40による稀釈保存, あるいは24時間室温保存放置された尿であっても測定前にTween40処理を行なうことにより, 尿中TPAの安定化が得られた. 以上の改良を加えた尿中TPA測定法によって臨床的検討を行った. 健常対照群127名の尿中TPA値より, 随時尿では240U/L, 24時間尿では300U/Lが正常上限とされた. 膀胱腫瘍例では随時尿で72.7%, 24時間尿で75.0%の尿中TPA陽性率が得られ, 本疾患におけるスクリーニングとしての有用性が確認された. しかしながら, 同時に検討された泌尿器科的良性諸疾患のうち, 膀胱炎および尿路結石症例群では, Tween40処理によっても従来の報告と同様に高い偽陽性率が示され, なお今後の検討が必要と考えられた. 過去benzidineあるいはβ-naphthilamineを取り扱ったchemical workerを対象とした検討では, 対照群に比して約2倍の尿中TPA陽性率が得られ, 今後長期に経過観察を行なう予定である.
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