研究課題/領域番号 |
60480363
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
北川 龍一 順天堂大, 医学部, 教授 (20010035)
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研究分担者 |
村田 方見 順天堂大学, 医学部泌尿器科, 助手 (70182128)
藤目 真 順天堂大学, 医学部泌尿器科, 講師 (90111541)
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キーワード | フェオフオルバイドa / Nd-YAGレーザー / 光化学療法 |
研究概要 |
レーザーを用いた膀胱癌の新しい治療の試みとして、葉緑素の代謝産物であるフェオフオルバイドaとNd-YAGレーガーを組み合わせた光化学療法をマウス膀胱腫瘍を用いて検討した。フェオフオルバイド系誘導体は、癌組織に選択的に集積し、外部エネルギー、主に光化学作用によりπ電子を放出し一連の過酸化脂質反応の結果、癌組織を破壊すると孝えられている。今回我々は、FANFT誘発マウス膀胱癌を同系C3H/Heマウス皮下に移植継代した腫瘍を対象とし、以下に述べる4群を設け、本療法の効果を組織学的に検討することを目的とした。第1群:メディウムのみ腫瘍内注入 第2群:フェオフオルバイドaのみ腫瘍内注入 第3群:Nd-YAGレーザー照射 第4群:フェフオルバイドa腫瘍内注入後Nd-YAGレーザー照射 Nd-YAGレーザーは、高拡散ロッドを用いた接触照射法を採用し、熱発生を抑えながら、励起効果を高めるため、パルス発生装置(Qスウイッチ)を組み込んで使用した。レーザーの透過範囲は、赤外線スコープによる計測では、ロッド先端を中心とし半径1.5cm程度であった。レーザーによる温度上昇は、ロッド先端部位で50℃前後、先端より1cmの部位で39℃前後であった。治療効果は、摘出標本より組織標本を作製し、顕微鏡下に壊死巣を確認し、その大きさを測定することにより、短期効果として判定した。結果は、フェオフエルバイドa注入後Nd-YAGレーザー照射群では全例に径5mm前後の壊死巣をみとめたが、他の群では、散発的により小さな壊死巣をみとめたにすぎなかった。レーザー照射のみの群との比較において、レーザーによる熱発生は、本療法における治療効果に関与は否定できないものの、大きな要因では無いものと思われた。今後は、フェフオルバイドaの全身的な投与及び、長期効果(腫瘍の消失、延命)につき検討を加えて行きたいと考えている。
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