研究概要 |
排卵温程における卵巣選択機構において卵量の局所において下垂体gonadotropinの作用を修飾し, また卵胞相互間のmediatorとして作用すると考えられるGnRH様物質の分離, 精製, およびその生理作用について一連の研究を行っているが, 今年度は下記の点について結果をえた. 幼若雌ラットにGnRHアゴニストを投与すると腟開口は遅延し, 卵巣重量も著減したが, 血中LH,FSHは非投与対照のレベルを維持した. 下垂体GnRHレセプターは投与開始1週間目より低下し,GnRH反応性も抑制され, 卵巣のLHレセプターも減少した. 一方, 下垂体別除ラットでもGnRHを投与すると卵巣LHレセプターは有意に低下し, GnRHの卵巣直接作用を認めた. さらに,ヒトにGnRHアゴニストを投与時にも 投与開始3週間後には下垂体のdown regulationにより下垂体GnRH反応性は消失するか,GnRH投与は血中LH,FSH濃度を変化させずにestradioeを減少させ,ヒトでもGnRHの卵巣直接作用のあることを証明した. ラット卵巣より顆粒膜細胞を採取して48時間培養しGnRHアナログを培養液に添加しするとprogesteroneから200ーhydsoxyprogesteroneへのconversionは促進された. GnRHは顆粒膜細胞のprogasterone産生を抑制するが, その作用の1つは200ーHSD活性の刺激が関与することをin vitroで証明した. ラット視床下部でのGnRH生合成過程でのprehormoneである1〜17アミノ酸をcodeするGnRHmRNAに相補的なoligonucleotide.pvobe(50mer)を合成し,^<32>PーdCTPおよびreversetranscriptaseを用いてPrimer extension法でラベルし,卵巣から抽出したmRNAをNothern hybridationで分折すると,視床下部GhRHmRNAよりは大きいサイズのprobeとハイブリダイズするmRNAを認めた.この物質のヌクレオチド配列を分折することで卵巣性GnRH様物質の化学構造の決定を試みている.
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