研究課題/領域番号 |
60480376
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
金岡 毅 福岡大, 医学部, 助教授 (50078755)
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研究分担者 |
淵之上 祥徳 福岡大学, 医学部産婦人科学教室, 助手
内田 克彦 福岡大学, 医学部産婦人科学教室, 助手
渋谷 孝博 福岡大学, 医学部産婦人科学教室, 助手 (90170919)
井槌 邦雄 福岡大学, 医学部産婦人科学教室, 助手 (80176312)
窪田 孝明 福岡大学, 医学部産婦人科学教室, 助手 (60153334)
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キーワード | 胎児発育 / 胎児発育障害 / 生化学的胎児胎盤機能 / 胎盤血流抵抗 / 肝臓代謝 / 慢性胎児無酸素症 / 胎児糖代謝 / カテコールアミン |
研究概要 |
臨床実験としては、1.平均妊娠週数32.8週において胎児超音波計測を施行して、大横径、腹囲及び推定胎児体重によって子宮内胎児発育遅延と診断された150例の妊婦について、血漿エストリオール【E_3】濃度、尿中【E_3】濃度および血漿ひと胎盤ラクトーゲン(hPL)濃度をそれぞれRIA法、帝国臓器【E_3】キット法およびRIA法で測定した結果、平均血漿【E_3】が75.2mg/ml、尿中【E_3】が19.4mg/day、血漿hPLが8.8μg/mlと、いずれも正常妊娠の正常域下限値であった。これら150例を経口的にAllylestrenil30mg/dayを投与した投与群75例と投与しない対照群75例に分け、6週後に再計測した結果、対照群で血漿【E_3】111.9mg/ml、尿中【E_3】23.4mg/day、血漿hPL9.1μg/mlであったのに対して、投与群で血漿【E_3】154.2mg/ml、尿中【E_3】31.8mg/day、血漿hPL11.7μg/mlと推計学的に有意に増加し、また超音波胎児計測値、出生体重も有意に増加して、Allylestrenolの胎盤賦活効果を認めた。2.このような子宮内胎児発育遅延を示す妊娠において超音波ドプラー血流計を用いて子宮弓形動脈、胎児大動脈および胎児臍帯動脈の血流波形を求めた結果、やがて胎児発育遅延を発症する妊婦においては妊娠28〜32週頃から、母体の子宮胎盤血行および胎児の胎盤血行のいずれも末梢血管抵坑が増加し、ついで生化学的胎盤機能値が低下し、やがて胎児発育遅延が発症することが明らかとなった。このため胎盤における血管抵坑を減少させることにより胎児発育遅延は予防できるものと考えられた。3.動物実験においては、胎児発育障害は慢性低酸素症によって発症すると考えられたため、モルモット胎仔、新生仔および成獣につき肝灌流実験を行い、無酸素症・カテコールアミンの負荷を行った結果、胎仔は成獣に比べて肝代謝が未熟な一方、肝内蓄積グリコーゲンは無酸素症・カテコーラミン負荷で分解、糖として放出、無酸素症に対する耐性の増加を助け、ひいては胎児発育遅延の病因となっていることが判明した。
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