研究分担者 |
内田 克彦 福岡大学, 医学部, 助手 (50185021)
宇治 光治 福岡大学, 医学部, 助手 (90168683)
窪田 孝明 福岡大学, 病院, 助手 (60153334)
渋谷 孝博 福岡大学, 病院, 助手(併任講師) (90170919)
井槌 邦雄 福岡大学, 病院, 講師 (80176312)
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研究概要 |
子宮内胎児発育は, (1)胎児固有発育能力, (2)子宮・胎盤血流による酸素・栄養基質供給に依存する. (1)染色体異常・先天異常・子宮内感染などによる胎児発育因子障害, (2)子宮胎盤血流不全による慢性胎児仮死が発生すれば子宮内胎児発育遅延(IUGR)が発生する. われわれは, (1)前者を超音波胎児スキャン, TORCHスキャン, 羊水浮遊細胞染色体検査法などで, (2)後者を超音波ドプラ法, 胎児心拍数陣痛計測法, 胎児プロファイリング法, 母体尿・血中エストリオール値, 母体血中ひと胎盤ラクトーゲン値, 胎児経皮酸素・炭酸ガス・pH測定法などで, 出生前診断, 胎児評価, さらに出生前治療法の効果判定を行った. その結果, (1)これら生化学・生物理学指標で胎児発育と発育障害が的確に評価できることが判明したが, さらに新しい臨床指標として, (2)超音波ドプラ法で母体子宮・胎児臍動脈血流量を測定して病的基準を確立し, (3)胎児に応用可能と考えられた生体スペクトロフォトメトリー法を利用して新生児の経皮的ビリルビン測定を行い, この方法により将来胎児経皮酸素モニタリングが可能であることを確認し, (4)電極を胎児先進部に装着することによって連続的に分娩中における胎児呼吸ガス値を測定して, 胎児生化学モニタリング法と胎児心拍数陣痛計測法とを比較検討した. 基礎研究においては, (5)子宮内胎児は分娩ストレスに耐えるために肝臓・心臓など体組織にグリコーゲンを蓄積して, カテコールアミン分泌や無酸素症の直接刺激で著明な嫌気性解糖代謝が亢進するが, (6)出生後の新生児(仔)では豊富な酸素供給によって糖新生系代謝が亢進していることが判明し, (7)子宮内胎児(仔)発育遅延が発生するとはじめは酸素活性亢進により代償するが, 次第にエネルギー産生系の消耗によって適応不全が起こり, 胎児(仔)が死亡したり, 脳神経系後遺症が発生することなどが明かとなった.
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