研究概要 |
1.ヒトのP300の研究:左側頭葉聴覚領野ならびに左右の聴覚領野損傷の症例を対象にした。P300のプロトコールは(1)1KHz V.S 21CHz純音(2)語音として"赤"V.S"黒"の異る刺激を用い、純音,語音の各刺激実験とも一つをrare,他をfrequentとして、それぞれrare,frequentを入れかえて、2種類の音 区別されるか検討した。同時に比較のためにCNVを記録した。第一刺激はクリック、第二刺激は発光ダイオードによる光刺激である。その結果、(1)左側頭葉損傷の感覚性失認症を呈した症例では、a、純音刺激に対してrareはfrequentに比べ有意に振幅の大きいP300が得られる。b.語音刺激に対しても(1)と同様の結果が得られた。C.CNVはいずれの症例でも、期待を示す陰性変動が得られた。(2)両側側頭葉損傷の、いわゆる聴覚失認症例では、a.純音刺激に対してrareがfrequentに対し、大きい反応を示すものが多かった。b.語音に対してはrareとfrequentの間には差が認められなかった。(3)CNVはいずれの症例でも陰性変動が得られた。以上よりヒトでは、左右の大脳聴覚領野損傷では語音に対するP300は得られないが純音に対しては得られることがわかった。CNVは聴皮質損傷の影響を受けないことがわかった。 2.動物のP300の研究;イ)サルについて:日本ザルを本研究のために購入した。しかし購入出来た時期が本報告より数ケ月前であるため、現在、トレーニング中である。ロ)ネコについて:サルの代りにネコで実験を計画した。刺激はLoudclick,SoftclickをRare15%,Frequent80%,1KHz Puretone5%としEyeBlinkによる条件付に用いた。両側聴皮質破壊実験ではP300は影響を受けなかった。海馬破壊では影響を受けないが、増強した。しかし中隔破壊では、P300は消失した。以上よりP300は聴皮質には影響されないが海馬中隔に調節されていた。
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