研究概要 |
視細胞外節の蛋白部分の大部分を占める光受容物質であるロドプシンは、生理的には視細胞で作られ網膜色素上皮細胞において分解される。その分解がどのような調節を受けているのかをin vitroおよびin vivo.で検討する事を目的とした。マウスミエローマP6を用いて高度に精製したカテプシンDのモノクローン抗体を作製した。それを用いヒト眼球,ウシ,ウサギ眼球の免疫組織化学および電顕的免疫組織化学を行いカテプシンDの局在を示した。その結果は昭和62年5月の日本眼科学会総会で発表予定である。病的状態のオプシンの運命についても検討した。網膜剥離の下液中のオプシン量を測定すると剥離期間が長い程オプシン量が減少する事を明らかにした。これは下液中に存在するオプシン分解酵素が働いている事が推測された。網膜変性動物C3Hマウスのオプシンは正常な輸送を受けず異常な極性を示す事を明らかにした。すなわち視細胞の細胞膜にオプシンが局在した。正常な生合成,輸送および分解がオプシンに関し行われていない事が明らかとなった。さらに一次硝子体過形成遺残でretinal dysplasiaを示した例においてオプシンの異常な分布が起っている事を示した。正常な生合成,輸送および分解が行われない疾患の一つと思われた。
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