研究概要 |
B.intermediusは繊維状の物質で覆われる(Fibrous)型もしくは均一な薄い電子密度で覆われる(Amerphous)型の莢膜が存在する事を我々は見出した。今回の実験では、fibrous株およびamorphous株のPMNの貧食に対する感受性の差異、および貧食に強く抵抗性を示す成分を抽出し、いかなる化学成分であるか、またいかなる機序によって抗食菌性を与えているかを解明することを目的とした。Fibrous typeとしてはI-4株,Amorphous typeとしてはI-7株を用いた。2日間Todd-Hewitt液体培地で培養した。2つの菌液をPolytron blenderで撹拌後超音波処理を行い、次に遠心によって菌体を除去後その上清液を更に超遠心する事によってR1を得た。R1の水懸濁液に酢酸ソーダと酢酸を各々10%,1%に加え、次に等量のエタノールを加えてR2を得た。このR2に10%のTCAを加え除蛋白し、その後上記のエタノール沈殿法を繰返してPSを得た。またR2は70%に硫安を飽和させ、遠心後R3を得た。以上の各画分を水で透析後、試料とした。Fibrous株は、Amorphous株とは異なり白血球の貧食作用に著しく抵抗性を示す事を見出した。そこでそのI-4株から試料を抽出した。R1とR3は大部分が多糖体から成り立っていたが蛋白質も含まれていた。一方、PSは多糖体のみから成り立っていて、ガスクロマト分析によって、D-galaclose-D-mannoglycan(1:7)である事が解った。次にR1,P3,PSをbeadsに結合させ貧食実験を行ったところ、I-4のPSが最も貧食に抵抗性を有していた。I-7のR1は容易に貧食された。I-4の貧食阻害はPSがもっているhydrophobicityに依るものではなく、IgGや【C_3】成分によって誘導される貧食を阻害している事が解った。PMN表面に存在するIgGや【C_3】receptorへの結合を阻害しているものと思われる。またPMN表面に存在するmannose特異性receptorをPSのmannose成分が付着するために阻害しているものと考えられる。
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