研究課題
一般研究(B)
低出力アルゴンレーザーの歯髄組織の修復機転に及ぼす影響を調べる研究を行った。X-Y-Z軸微動装置と集光装置によりレーザー光をライトガイド石英ファイバーに導光する、アルゴンレーザー光導光装置を試作した。レーザー光の至適照射条件を調べる為に、レーザー光の象牙質透過性を最初に検討した。透過性は、シーメンス社製の照度センサーとトプコン社製イルミネーションメーにより、照度の変化をアルブンレーザー光の波長の違いINクエン酸による脱灰処理、脱灰後の塩化ナトリウムまたは塩化カリウム飽和溶液浸漬後などの条件で、ヒト抜去歯の象牙質薄切片(ディスク)を用いて測定した。歯髄組織へのアルゴンレーザー光の影響を、ラット切歯歯髄を用いて病理組織学的に検討した。実験方法としては、ラット切歯歯頚部に直径3mmの円形象牙質窩洞を形成し、その部位にレーザー光を照射した。コントロールとしては、窩洞をステンレス・ストリップスで被いレーザー光の影響を除外した歯髄とした。照射1週間後に屠殺し、ホルマリン固定、脱灰パラフィン包埋、薄切後、ヘマトキシリン・エオジン染色を施し鏡検した。その結果、我々の入手したアルゴンレーザー光発生装置の最大出力は1Wであるが、導光用ファイバー端部が使用時間の増加につれてしだいに溶解し出射端からの出力も低下してくるなどの問題が生じることなどから、更に、改良が必要と思われる。レーザー光の波長の違いによる象牙質の透過性は、緑光の方が青色光よりも1倍半透過する。また、ラット歯髄での象牙芽細胞の配列の乱れや、象牙前質の形成障害の出現などの変化を考慮すると、緑色光を用いて、出力千八百ミリジュール以下での至適条件の検討が必要と思われる。
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