研究概要 |
抗Actinobacillus actinomycetemcomitaus(Aa)【Y_4】抗体のAa【Y_4】に対する作用とそのイヌ歯周組織に与える影響を検索した。 成犬5頭の小臼歯8歯の分岐部歯槽骨を除去し人工的分岐部病変と歯周ポケットを形成した。抗体注入群3頭には小臼歯片側4歯に抗Aa抗体、Sham抗体、PBSを0.3mlづつ頬側付着歯肉に注射し、抗体滴下群2頭では頬側中央部ポケットにそれぞれ5μlづつ4回滴下した。コントロール部は未処置としそれぞれのポケットに1×【10^(11)】Aa/mlに調整した菌液を2μl接種した。4時間後ポケット内容液を回収しAa【Y_4】生菌数及び浸潤好中球数を測定した。 またin vitroにおいて抗Aa抗体が補体媒介性殺菌能、イヌ好中球の殺菌能及び食菌能に及ぼす影響を検索した。5%及び20%濃度の補体存在下でで0.01〜20%の抗Aa抗体を添加した時のAa【_(Y4)】生菌数を測定し、同様の系にイヌ好中球を加えてincubationしたものの遠心上清及び撹拌液のAa生菌数を測定した。また、Lab Tek tissue culture chamber(Miles)を用いてAa【Y_4】、抗Aa抗体、イヌ好中球、補体混合液をincubationし上清除去後、固定,染色しプレパラート上で100個の好中球を検鏡しその食菌能を判定した。 以上の結果から抗Aa抗体はin vivo,in vitroの両方においてAa【Y_4】に対して殺菌的な作用を有するものではないことが示された。しかしながらAa【Y_4】を凝集させたりイヌ好中球の食作用を亢進させるなどオプソニンとしての作用は有していることが示唆された。
|