研究概要 |
我々はさきにクレンチンク時の咀嚼筋活動と歯牙接触様式との関係に注目し、Groupfunctioned occlusionを有するGFグループとCuspid protectedocclusionを有するCPグループとでは筋放電パターンが異なることを前年度報告した。そこで今回、CPグループの側方咬合時の歯牙接触様式を実験的に変化させた場合、その変化が咀嚼筋の筋放電にどのような影響を及ぼすかについて調べるため以下の実験を行なった。 被験者は顎口腔系に異常の認められない24〜31歳の成人男子5名で、全員側方咬合時での歯牙接触部位は上下の作業側犬歯である。これらの被験者の上顎左右小臼歯,大臼歯に白金加金によるメタルシーネを装着し、側方咬合時での歯牙接触部位が犬歯を含む側方歯群全歯となるようにして、Cuspidprotected occlusionを有する被験者を実験的にGroup functioned occlusionになるように変え、咬頭嵌合位,左右側方位、前方位,後方位にて最大かみしめを行なわせた。被験筋は左右咬筋浅部及び側頭筋前,後腹部の6筋であり、これらの筋担当部から表面電極によって導出した筋電図アナログ信号をA/Dコンバータでデジタル信号に変換して、コンピュータにより積分値を求め自動解析を行なった。結果の概要は以下のごとくである。 1.シーネ装着の有無にかかわらず総筋活動量は咬頭嵌合位が最大であった。 2.シーネ装着により左右側方位での総筋活動量は増加するがそのIP比の値(咬頭嵌合位における筋活動を1とした時の各顎位における筋活動量の比率)はGFグループの値ほど大きくなかった。 3.シーネ装着後の左右側方位におけるIP比の経時的変化についてはCP型に戻るものとGF型に近くなるものとがいた。 今後はシーネ装着後の経時的変化とシーネ撤去後の変化について詳細な検討を加えてみたい。
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