研究概要 |
口腔機能だけでなく忠者の精神面での回復にも成果を上げているOsseointe-grated implantは、インプラント体(fixture)が骨に密着する構造的特性から、支持組識の機能的生理的特性が天然歯歯周組識の場合とは大きく異なる。従って本法における咬合機能の解明は上部構造の設計および術式の改善に必須であり、天然歯列における咀嚼機構の解明にも役立つと考えられる。 骨組識と結合したfixtureの被圧変位量およびその特性について調査し、天然歯のそれと比較した。2kgまでの唇・舌側的荷重に対して、変位量は直線比例関係で増加し、上部計測点で約37〜114μm,下部計測点で約26〜71μmと天然歯よりも小さな値を示し、大きく異なった変位特性が認められた。荷重除去後のクリープは認められずfixtureは直ちに原点に復位した。被圧変位時の回転中心は、荷重量の増減による変化を示さないが、各fixtureにおける回転中心の位置には上下的な差がみられた。以上の結果から、fixtureの被圧変位特性は骨組識,ことにfixture先端付近の骨の弾性変形の影響を受け、fixtureのネック部と先端部とにおける骨性状の差異の程度がその回転中心の上下的位置に影響すると考える。また、fixture周囲組織の圧感覚閾値は静的荷重に対して100g以上,動的荷重に対して35g以上と天然歯に比較して有意に大きな値を示した。周囲粘膜の感覚を排除する目的からabutmentを除去して閾値を調査したが、abutment装着時との間に有意差はなく、粘膜の感覚はこの程度の被圧変位量の下では関与していないと考えられる。さらに、fixture周縁骨骨膜の感覚の影響を把握するために、浸潤麻酔下で調査を行ったが特定の傾向は認められなかった。 現在、上記研究に関して、垂直方向および近遠心方向のfixtureの被圧変位量の計測と、定量的動的荷重装置による感覚閾値の調査を本法の適用46症例に対して実施している。
|