研究概要 |
本研究におけるX線TV装置では、柔軟性に富んだグラスファイバーエンドスコープの開発により、臨床上の操作性が飛躍的に向上した。またX線照射方向を決定するための磁気センサーシステムを開発した。これは60年度当初、受像部に取りつけた永久磁石の磁界を、照射筒に取りつけたセンサーで補捉する計画であったが、この発想を転換し、照射筒の方に電磁マグネットによる回転磁界を発生させ、これを受像部に取りつけたホールICで検知するようにしたものである。この理由は永久磁石の磁界をホールICで検出するのは、発生する電流が直流であり、地磁気の影響,熱起電力,不平衡電圧,増幅器のオフセット電圧など、直流成分のすべてがゼロ点の誤差となり、これを除くためには、複雑な回路を組まねばならぬからである。一方、回転磁界では、交流成分となり上記の要因を考慮しなくてもよい事となった為である。この機構により、照射の位置ぎめが容易であり、失敗がなく、結果として、患者の無駄な被曝を防ぐことができた。第27回日本歯科放射線学会における発表で、この磁気センサーシステムは、他の口内法撮影にも応用できるとして、注目を集めた。本研究での顎骨病変の定量診断法は、基礎実験において、臨床に使用しうる良好な成績を得たため、小児の顎嚢胞における、手術后の回復状態を追跡し、骨の新生を定量的に示めした。成人における顎骨病変では、追跡に数年を要するものが多いことから、本研究期間では報告するに至らなかったが、今後治癒状態の傾向など考案して、治療法などの検討に供したいと考えている。 本システムの画像処理機構により、骨欠損部の大きさの把握や、サブトラクションにより、顎運動の際の下顎頭の運動量計測が可能になった。
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