研究概要 |
我々は, DMF指数としばしば高い相関々係を認めると報告がされている咬合面歯垢指数(OPI)が歯の咬合平面への到達につれて減少することを見出した. そこで上下顎の歯牙の接触状態がOPIを左右するものと考えて本研究を行った. 92名の7歳児について経続的な歯科検診を実施し, その際第1大臼歯についてのOPI, 中心位咬合時の状態を印記した不透明ワックスの咬合印記板を作成し, これから対合歯との咬合接触面積指数(Occlusal Contact Area Index, OCAI)を評価した. 7歳児の一人平均OPIは1.34, OCAIは3.09で, 2年後の同一集団の値はそれぞれ, 0.91, 3.56であった. 統計学的検討の結果OPIはこの2年間で有意に減少し, OCAIも有意に増加していた(P<0.001). 7歳児のOPIとOCAIとの間にはr=-0.57の負の相関を認めた(P<0.01). また, 2年間のOPI増量とOCAI増量との間にもr=-0.21の負の相関を認めた(P<0.05). 7歳児での以上の結果から(1)咬合面歯垢量は経時的に減少する. (2)咬合面触面積は経時的に増大する. (3)咬合面歯垢量は咬合接触面積の増大に伴って減少する. との結論がえられた. これらのことは口腔に出齦した第1大臼歯は, 徐々に萠出し, 対合歯との咬合による接触が得られるにしたがって咬合接触面積を増大させ咬合面歯垢量を減少させていくことが推察された.
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