脳性麻痺者は、四肢のみならず口腔領域にまで及ぶ運動の異常を示す。本研究は、脳性麻痺者の咀嚼機能を咀嚼能力測定法により咀嚼能力値として定量を行ない、その測定値と咀嚼筋群の活動量との関係を明らかにするために行なった。咀嚼筋群の活動量を筋電図の積分値として評価したところ、以果の結論を現段階で得ている。口腔機能の障害が軽いと視診で評価される脳性麻痺者でさえも、咀嚼能力値は健常者のそれよりも低下していた。咀嚼能力の低下は咀嚼筋群の活動状態の低下によるものと考えられていたが、結果として個々の筋間のみならず、個体内の筋活動量の比も健常者と差はなかった。しかしながら、健常者群では一定のリズムをもって試料を粉粋する様相が認められるのに対し脳性麻痺者群ではリズムは不規則であってむしろこのリズムが反映する咀嚼運動におけるfeed back機構に問題がある可能性があると考えられる。したがって今後は、咀嚼運動の髄意的要素をとり除いた反射的要素の検討が可能である誘発筋電図により検討を加えていきたい。
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