研究概要 |
わが国の137機関の5,641名の実験動物関係者の1,304名(23%)がアレルギー症状をもつことを明らかにし, 原因動物としてはすべての動物種が関与し, アトピー体質のヒトが発症し易いことを明らかにした. モルモットに対するアレルギー有症者の, 各種抽出蛋白による皮内反応では, 尿100%, 唾液83%, フケ83%, 血清67%の陽性率で, 鼻誘発反応では誘発直後より鼻閉, 鼻漏, くしゃみ等が発現した. 飼料の抗原性はみられなかった. 特異IgEの抗体価は有症者で高く, 皮内反応, Total IgE値, RAST値は喘息と鼻アレルギーを有する群で高い傾向にあった. 尿抗原は低分子量の蛋白で, 唾液, 血清, フケの抗原との間にも共通の抗原性が確認された. 有症者とアレルギーの既往症のあるヒトは末梢血好酸球, IgE(RIST)が高く, 取り扱っている動物に対するIgE(RAST)は50%のヒトがSCORE2以上を示した. 治療法としては, アレルゲンからの回避が重要であることを一方向気流方式のモルモット室で実証し, 療法として, DSCG, トラニスト等の抗アレルギー剤の投与, 減感作療法が良いことを指摘し, また, 気管支拡張剤の使用も一つの予防法であることを指摘した. 従来方式の動物室空中粉塵には数百ng/m^3の蛋白を含有し, その半数程度は1 以上の粉塵に含まれていた. 粉塵は換気回数の増加, 収容密度の低下で減少した. 動物室の気流が室内作業空間から飼育棚後部へ流れる一方向気流方式を開発した. 排気側に対する室内作業空間の粉塵レベルは従来方式の94%に対し, 一方向気流方式では前面解放群で46.3%, カーテン群で8%, 引戸群で1.5%であった. また, 各種マスクの粉塵の捕集効果について検索し, 2μm以上の粉塵はよく捕集されるが, 1μm以下の粉塵はマスクの材質により捕集効率が劣ることを明らかにした.
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