研究課題/領域番号 |
60480494
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
脊山 洋右 東大, 医学部, 教授 (90010082)
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研究分担者 |
笠間 健嗣 東京大学, 医学部, 教務職員 (80124668)
大塚 英昭 広島大学, 医学部, 助教授 (00107385)
川口 昭彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (80013332)
清水 孝雄 東京大学, 医学部, 助教授 (80127092)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | ハーダー腺 / 分枝鎖脂肪酸 / 脂質代謝 / 脂肪酸合成酵素 / アシル転移酵素 / ホスファチジン酸 / アラキドン酸 |
研究概要 |
各哺乳動物の眼窩内に存在するハーダー腺は特異な脂質代謝を行っている。一方、この臓器のきのうであるフェロモン分泌や体内時計等の多彩な生理機能発現には細胞膜脂質が重要な役割を果しているものと思われる。我々は既にモルモットのハーダー腺の分泌する脂質の組成を明らかにしてきたが、これらの脂質は多量の分枝鎖脂肪酸を含有している点に特徴がある。又、リノール酸やアラキドン酸のような外因性の脂肪酸を含まず、脂質代謝の上で外界から隔絶された「独立国」を形成しているものと思われる。そこで、本研究ではこの腺の特異性を生かして、脂質が生体膜において果たす生理機能を明らかにすることを目的として、細胞膜脂質の分析と、脂質代謝の酵素学的解析を行った。 1.[細胞膜脂質の特徴]細胞膜は細胞にとって基本的な構成分であるから、他の臓器と同じに違いないという推定と、分枝鎖脂肪酸という特殊な脂肪酸が供給されている以上膜脂質も風変りであるかもしれないという予想が半ばしている。そこでホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンを分析してみると、多量のメチル分枝鎖脂肪酸が含まれている反面、リノレン酸やアラキドン酸のような外来性の必須脂肪酸がまったく含まれていないことがわかった。後者はこの臓器に於てアラキドン酸カスケードが働いていない可能性を意味し、これは今後の大きな課題として残されている。 2.[脂質合成の酵素学的解析]生体膜の構成成分として特に重要なリン脂質の合成系の酵素による多段階の連続反応を試験管内で再構成して、脂肪酸組成の決定の機構を知る目的で脂肪酸合成酵素とアシル転移酵素の性質を調べた。前者で新しく合成された脂肪酸はすぐにアシルCoAへと活性化され、効率よくホスファチジン酸にとりこまれた。その脂肪酸の分子種は基質によって調節されていることが明らかになった。今後各リン脂質への振り分けを調べたい。
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