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1986 年度 実績報告書

低線量放射線によるマウスinvivo体細胞突然変異の誘発-閾値と線量率依存性

研究課題

研究課題/領域番号 60480505
研究機関大阪大学

研究代表者

野村 大成  阪大, 医学部, 助教授 (90089871)

キーワードマウス体細胞突然変異 / 低線量放射線 / 線量率効果 / X線 / 毛色劣性遺伝子PT-HTF1法 / 精原細胞
研究概要

〔目的〕 放射線、特に低線量放射線の遺伝的影響研究は、膨大な数の動物を必要とし、従来の方法(マウス特定座位法)では不可能である。しかし、in vivo体細胞突然変異検出法のうち、高感度且つ安定した結果の得られるPT-HTF1法を用いると、10Rでも遺伝子突然変異が検出でき、しかも、閾値がないこともわかった。より低線量の放射線の遺伝的影響を調べるため、線量率を0.5R/minに下げ、急照射実験群と比較し線量率効果を求めることによりヒトへのリスク推定の資料とする。
〔方法〕 PT♀とHT♂を交配し、妊娠10 1/2日目にX線110Rの急照射(線量率52.0〜60.5R/min)および、緩照射(0.44〜0.55R/min)を行った。PT-HTF1の毛色遺伝子はa/a,b/+,【C^(ch)】/+,d/+,p/+,ln/+,pa/+,pe/+で、黒色のマウスとなる。もし、野生型遺伝子に変異がおこると、その変異細胞由来の部分だけが、黒色の毛皮の中に茶〜灰白色のスポットを形成する。F1マウスを生後5〜6週で屠殺し、変異部の毛を抜去し、顕微鏡下で観察し、変異毛の数および、変異遺伝子座を同定した。
〔結果と考察〕 急照射で218匹中26個(0.12)、緩照射で161匹中25個(0.16)に体細胞突然変異が検出された(非照射で750匹中22個)。緩照射群の方が変異スポットの発生率はやや高かったが、緩照射群の変異スポットは急照射のそれにくらべ、はるかに小さかった。変異毛と全体の毛の割合により、照射後の生存標的細胞数を推定すると急照射で530、緩照射で1853となり、1遺伝子座1R当りの突然変異率は、それぞれ、1.9×【10^(-7)】,0.8×【10^(-7)】となり、緩照射群は急照射群の約1/2であった。即ち、X線によるin vivo体細胞突然変異(PT-HTF1法)には、線量率効果が認められ、突然変異率も完全に精原細胞のそれと一致した。従って、低線量放射線の遺伝的影響を調べることが可能となった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nomura,T.: Genetic Toxicology of Environmental Chemicals. PartB. 13-20 (1986)

  • [文献書誌] Nomura,T.: Mutation Research. 190. 25-29 (1987)

  • [文献書誌] Nomura,T.: Functional Effects on the Offspring after Parental Drug Exposure. (1987)

  • [文献書誌] 野村大成: 病態生理. 5. 769-773 (1986)

  • [文献書誌] 野村大成: 蛋白質.核酸.酸素. (1987)

  • [文献書誌] Nomura,T.: Mutation Research. (1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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