1.甲状腺ホルモンのPG【I_2】産生刺激 甲状腺ホルモンを投与した甲状腺機能亢進ラットでは血中PG【I_2】は増加し、メルカゾール投与の甲状腺機能低下ラットでは血中PG【I_2】は減少した。未治療バセドウ病患者では血中PG【I_2】が上昇していたが、逆に血中トロンボキサン【A_2】は減少していた。これらの患者を抗甲状腺剤で治療すると血中PG【I_2】もトロンボキサン【A_2】も正常化した。さらに、in vitroで【T_3】は培養血管中膜平滑筋細胞のPG【I_2】産生を促進した。したがって、バセドウ病の病態として、(TSH受容体抗体→甲状腺ホルモン分泌刺激→甲状腺ホルモン上昇→PG【I_2】産生増加→甲状腺ホルモン分泌刺激)という悪循環が存在する可能性が示唆された。 2.甲状腺刺激物質の作用機序と【Ca^(2+)】(1)Protein kinaseCのactivatorであるphorbol estersは甲状腺蛋白を燐酸化し、甲状腺ホルモン分泌を促進した。 (2)カルシウム結合蛋白であるcalmodulinの阻害剤はTSHによる甲状腺ホルモン分泌刺激を著明に抑制した。 (3)カルシウム依存性プロテアーゼ(calpain)は甲状腺cytosolに存在し、サイログロブリンを加水分解した。 したがって、甲状腺刺激物質の作用機序に【Ca^(2+)】が重要な役割を演じている。 3.Parvalbuminと甲状腺機能 【Ca^(2+)】結合蛋白であり、type【II】筋線維に多量に含有されているparvalhuminは甲状腺機能亢進ラットで増加し、機能低下ラットで著明に減少した。
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