研究概要 |
すでに工業的製法が確立されているショ糖の長鎖脂肪酸エステルが, 毒性の少ない良好な界面活性剤として使用されていることに着目して, ショ糖よりも資源的に有利なでん粉およびその誘導体の長鎖脂肪酸エステルの合成を試みた. その結果, 乳化能にすぐれたアミロース長鎖脂肪酸エステルを得ることができた. 1.エステル交換による方法 DMF-炭酸カリウム系でステアリン酸メチルによるエステル交換反応を試みた結果還元末端におけるアルカリ分解が原因で反応収率があがらなかった. 2.還元末端の保護 アルカリ分解をおさえるため, 水素化ホウ素ナトリウムにより末端基の保護を試みた. マルチトールでは, この方法を用いることによって乳化能のすぐれたステアリン酸モノエステルを得ることができた. 一方, 還元短鎖アミロースでは, 一級ヒドロキシ基の反応性が低くエステル化度を高くするのが困難であった. 3.酸クロリドを用いたエステル化 1)高エステル化度アミロース ピリジン溶媒を用い,ステアリン酸クロリドによるエステル化で, 残基当りのエステル置換度が1以上のアミロースエステルを得た. 短鎖アミロースエステルはW10型の乳化能を示した. 2)低エステル化度アミロース ピリジンーホルムアミド混合溶媒中でエステル置換度が1以下の長鎖アミロースエステルを得た. 水溶液は, 界面活性能とレオペキシー挙動を示し, 01W型の乳化能があった.
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