研究課題/領域番号 |
60490003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平林 民雄 筑大, 生物科学系, 助教授 (30015557)
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研究分担者 |
高城 忠 東京学芸大学, 生物学教室, 助教授 (10022740)
渡辺 浩 筑波大学, 生物科学系, 教授 (20015506)
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キーワード | トロポミオシン / 二次元電気泳動法 / 構造蛋白質の組織特異性 / カブトガニ / 二枚貝 |
研究概要 |
1.カブトガニ・トロポミオシンの組織非特異性の研究は充分なる成果を得て発表した。この際、組織非特異的とはいえ、その多形性は大きく、どの組組も少なくとも3成分、おそらく5成分より成ることが判明したため、これらの各成分の単離に主として努力をした。通常の電気泳動法では考えられない程長距離泳動して、ようやく分離可能であること、及びそれらの成分の等電点が非常に近似していることのため、各成分の完全単離には未だ成功していない。これに免疫学的方法を併用することも考慮したが、あまりの強い類似度のために、おそらく成功しないと予測し、現在はやはり電気泳動により分離する条件を更に工夫しつつある。 2.節足動物についてカブトガニで得られた事実を確認するため、アメリカザリガニを採用し、組織特異性の有無を現在検討中である。 3.軟体動物のトロポミオシンの代表として先ず二枚貝を調べてみたところ節足動物とは異って筋組織の間でさえ多形性のちがいがみつけられた。特に貝柱を構成する筋肉は2種のisoformを持ち、そのうちの1つは横紋筋タイプ、他は心筋タイプと共通する点が発見され、更に動物種をかえて研究中である。 4.節足動物におけるトロポミオシンの組織非特異的分布については、脊椎動物にみられているisoformの機能差に関連して重要な意義をもつ。つまり各isoformはその分布が機能の差として説明されようとしている現在、これとは全く反する事実が節足動物にみられるからである。更にこの節足動物とは反する結果が無脊椎動物の二枚貝で得られ、この材料ではそれほど大きなものではないとは言え組織特異性が明確になって来た。従ってトロポミオシンの組織特異性・非特異性については先ず分類学上の意義を考慮し、その後、機能的意義を考えるのが適当と思われる。
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