研究概要 |
1.アリールナイトレニウムイオン中間体の反応における置換基効果 (1).基質の置換基効果:フェニルアジドより酸の存在で発生させたフェニルナイトレニウムイオン中間体(Ph【¨!N^+】HとPh【¨!N^+】-【~!A】l【Cl_3】)と各種の置換ベンゼンとの反応では、ジアリールアミンがオルト・パラ配向性で得られそれらのHammett式のρ値は-4.5と-6.0となり、これらの中間体が高い電子欠損種であることをよく支持する結果が得られた。 (2).アリールナイトレニウムイオン中間体の芳香核上の置換基効果:各種のアリールアジド(Ar【N_3】から芳香核上に置換基を有するアリールナイトレニウムイオン中間体を発生させベンゼンなどの芳香族と反応させたところ、強い電子吸引性置換基(N【O_2】やCN)を有する中間体は優先的なN-位の反応が、電子供与性置換基(MeやOMe)を有する場合はC位の反応(中間体の芳香核上の反応)が起こった。2,6-ジメチルフェニルアジドより発生させた中間体では、立体効果のためそのC-位の反応性がN-位と比較して優先した。 2.アルキルナイトレニウムイオン中間体の反応性 アルキルアジドから上記と同様に発生させたアルキルナイトレニウムイオン中間体は水素原子の引抜反応によってイミン誘導体になり、芳香族化合物との反応によるアニリン誘導体の生成は起こさなかった。しかし、各種のN-アミノまたはアルキルアミノ)ピリジニウム塩の光化学分解反応をトリフルオロ酢酸-芳香族化合物溶媒中で行ったところアニリン誘導体(オルト,メタパラの混合物)がかなり良好な収率で得られた。この反応が一重項の【¨!N^+】【H_2】またはアルキナイトレニウムイオン(R【¨!N^+】H)を中間体として経ていることは芳香族化合物との反応の置換基効果(Hammettのρ=-2.1),三重項生成物の検討,反応選択性に及ぼす各種のピリジニウム塩の影響などの反応機構論的な観点から確かめられた。
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