研究概要 |
1.モジュールに対応する遺伝子部分あるいはその複合体の発現を、外部のリンカー等に由来する余分のアミノ酸配列を含まず、直接発現できるようなベクターを二種類開発し、'ATG-TAG'ベクターと名付けた。これは、BamH【I】部位に隣接して、あるいはNco【I】部位内に開始コドンATGを、一方、Tth【III】-【I】部位内に終止コドンTAGを含むような発現ベクターであり、夫々の制限酵素による切断、そして末端一本錯部の酵素処理により、上記二つのコドンをベクターの両末端に露出させることができるようなものである。塩基配列決定の結果、ベクターは計画どおりの構造であることが確認された。(pHT6ならびにpHT8)。 2.リゾチームcDNA両端にXho【I】,Pst【I】部位を付加し、一部改変したpBR322に挿入して、成熟型リゾチーム分子のN末端リジン残基のコドンAAAの直前まで削るためのプラスシドを作成した(pHT20).そのようなクローンの選択には、BaL31消化後、上流のDra【I】部位(TTTAAA)での切断,分子内再結合によるDra【I】認識部位の再生を利用する。現在までの所、目的のクローンは得られていないが、それが得られれば、上記の発現ベクターを用いて、モジュール【I】〜【V】の複合体ならびにSac【I】切断によりモジュール【I】〜【III】の複合体を得る予定である。3.蛋白質データベースを用いたアミノ酸配列の局所相同性解析により、モジュール【II】〜【III】の部分が、リゾチームと酵素作用の類似する,N,O-ジアセチルムラシダーゼならびにバクテリオファージ・ラムダのエンドライシンと、モジュール【III】が、プラスミノーゲン等のクリングル構造の一部と、モジュール【V】が【I】gκ鎖V領域とホモロジーをもつことがわかり、モジュールごとに独立の素構造・素機能を持つことが示唆された。 4.リゾチーム分子内の架橋構造と構造のゆらぎとの関連ならびに、モデル蛋白での三次元構造形成の経路、核となる構造等を調べた。
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