研究分担者 |
柿田 ゆかり 福岡大学, 薬学部, 副手 (80194679)
中島 幸彦 福岡大学, 薬学部, 助手 (50164174)
須本 国弘 福岡大学, 薬学部, 助教授 (00078677)
山口 忠敏 宮崎医科大学, 講師 (80037598)
三橋 国英 福岡大学, 薬学部, 助教授 (60078681)
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研究概要 |
アミノ糖類はDNAの一本鎖切断を第一義的に起こすが, その作用の詳細を調べると共に, 更に切断活性の強いアミノ糖誘導体の開発を試みた. DNA切断活性は供試化合物をPBR322プラスミドのCCC-DNAと反応させた後, アガロースゲル電気泳動にかけ, 泳動像をクロマトスキヤナーにかけて生成したDNA(OC-,Linear)を分別定量することにより測定した. アミノ糖類のDNA切断活性と構造との相関々係をD-グルコサミンを基本にして調べたが, 糖の1位にアルデヒド基, 2位にフリーのアミノ基が結合していることが活性に必須であった. 2-アミノ糖の6位がリン酸化されると活性が高くなった. アミノグリコシド系抗生物質やキトサンのようなオリゴ糖は, DNAと強固に結合し, DNAが電気泳動されなかった. DNA切断活性はCu^<2+>で特異的に促進され, 各種の活性酸素のスキヤベンジヤーやその関連酵素により阻害されることから, アミノ糖類の水溶液中で生成する活性酸素, 特にヒドロキシルラジカルが活性に関与していると考えられた. 単糖類を出発物質として種々のアミノ糖誘導体を合成したが, これまで, DNA切断活性の特に高いものは得られなかった. ただし, 活性のない3-アミノ糖の水溶液を加熱(121°C)処理すると, D-グルコサミンより高い活性を示した. D-グルコサミンについても同じ現象がみられたので, 現在, この加熱分解産物中の活性物質の分離と同定を行なっている. アミノ糖類により切断されるDNAの塩基配列特異性の有無を調べるため, 全塩基配列が明らかな短鎖DNAを^<32>Pで標識した後, D-グルコサミンとCu^<2+>存在下および非存在下で反応させて得られる切断々片をマキサム・ギルバート法による電気泳動にかけた. その結果, Cu^<2+>存在下で部位特異的にアルカリ不安定部が生じ, これはピリミジンープリン(5′→3′)配列のピリミジン部であった.
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