古代型湖の時代毎水圏環境を決める最大要素である古気候の年代学的変遷について61年度は、特に大型植物化石と含有火山灰層の採集と解析に重点をおいて研究を進めた。一方、琵琶湖底深層コアの各種分析も逐次、進行しているので、この両者の資料の結合によって、少くとも250〜300万年間の様相は、可成、明らかになってきつつある。気温(水温)変動のアンプリチュードも、ある程度、把握出来ることになったので、古陸水物理、古陸水化学推定の根拠は整えられつつあるが、問題は生物の適応性に関する文献が日本では極めて少いことである。環境変動に対する適応能力資料の収集は欠かすことが出来ない。その為に62年度は確実の重点の一つをこの分野に於ける資料収集におく考えである。 他方、欧米各國図書館に散在する多量の文献資料をどのようにして収集したらよいかが、大きな問題となってきている。これ迄、他用で海外出張の都度、寸暇を惜しんで図書館めぐりに携わってきたが、この方法には限界があり、国際的に通用する教科書としての著書を完成するためには、この難関の打開策を講じなければならない。
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