初年度は現地調査の第一候補地としていた三鷹市では、市当局が駅前再開発計画を中止しており、急遽隣接調布市の第二候補地を選ぼうとしたがそこでも障害が起こるなど、当初予期しなかった困難が再三起こり、そのため年度末にかなり近くなってやっと東京都下調布市の飛田給地区の地域住民に対して調査票戸別面接調査が実施できた。このことは昭和60年度研究実績報告書に報告しておいたが、飛田給地区を選んだのは、本研究の目的が都市再開発と住民組織の関係を扱うことであり、調布市が飛田給地区で再開発を予定しているからであった。ところで計画対象地域は飛田給一丁目と二丁目に跨っている。初年度は予定外の事情で調査実施に手間どったこともあり、飛田給一丁目内の地域についてのみ調査票戸別面接調査を行ったのであるが、次年度は同様な調査を飛田給二丁目内の計画区域で実施した。それによって一丁目と二丁目の両方で174の有効回収票が得られ、この回収票の集計分析結果を中心として最後の調査報告が作成される運びとなった。 報告書で述べられている知見(findings)の一部についてこゝでふれておくと、対象地域の住民の半数は昭和55年以降の来住者であることに加え、半数以上が賃貸のアパート(一部賃貸マンションを含む)の居住者であった。彼等の住むアパートは乱雑に建てられており、再開発を実施する場合、これらアパートの取り壊しと撤去も必要となる。彼等は当然予想されるように定住意志も乏しいのであるが、しかし飛田給地区が東京中心部への通勤の便に恵まれているところから、差し当りは現住地での居住に満足している。しかも比較的高学歴の者が多いので、立ち退きを含むような再開発に着手するとすればかなりの反対者の現われることが予想される。一方自宅自営業者、借家所有者には賛成者も多く、賛否の入り混った地域内での社会的論争の起る恐れも考えられる。
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