(1).和歌山県日高郡印南町A地区(同和地区)と隣接するB地区(一般地区)を対象に実態調査(人口・世帯・職業・学歴等)を実施した。A地区・B地区を対象とした実態調査は、10年前(1976年)にも実施しており、この調査と今回の調査を比較することによって次の点が明らかとなった。第一は、A地区住民の社会的自立のとりくみが着実に成果をあげてきていることである。就労--20〜30才代の青年層を中心に、常雇労働者が増大するとともに多様な職種・分野に進出してきていること。学歴--15〜35才の青年層をみると、A地区の子どもはB地区に比べて親の学歴をより早くのりこえていること。第二は、しかし、「旧身分差別にもとづく歴史的な傷跡」は中高年層を中心にまだ残されており、就労保障と教育対策がひきつづき重要な課題となっている。 (2)、以上の「社会的自立」をめぐる動向から、A地区の社会教育活動の実践的基盤・課題を検討することが可能となる。第一は、「社会的自立」のとりくみが、社会教育活動の中心となる青年層の主体形成を準備していることである。第二は、「社会的自立」とは相対的に区別された形で、「人格的自立」の課題が独自に追求される必要があること。 (1)(2)の状況が、学校教育の見通しの根拠を明らかにしている。
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