研究概要 |
先にモンテスキューの生涯とそこに係わるユダヤ人について調べ、一論文にまとめたが、その続きとして、彼の作品を通して見たユダヤ人観を調査した。これは近く発表する。それと関連して、1780年代の思想家に及ぼしたモンテスキューの影響の研究も継続中である。新たに始めた課題としては、リーニュ大公Prince de Ligneのユダヤ人論と、重農主義者のユダヤ人観があり、前者については、まず伝記的調査から始めるため、関係書を十数点購入し、経歴と思想の関係を調べている。後者については、テュルゴ,コワニ元師,アンジュ・グダール,ヴァンサン・グルネ,ケネーらのユダヤ人観(自由貿易論,植民地政策との関係)を中心に調査を進めた。それらは追いおい論文として発表していく。 ヴォルテールに関しては、昨年イギリスにおけるユダヤ人破産者との関連を調査し、発表したので、今年は思想面を主とし、「歴史哲学」(大著「諸国民の風俗試論」の序論ともなるが、独立した書物としても扱われる)におけるユダヤ人(古代)の扱い方を調べた。そのため、この書物を全訳したので、近く公刊される。また、その解説として、ブランフィット氏の注解を訳し、これも同時に公刊される予定である。 ディドロについては、先年ピントとの関係を研究発表したが、ペレールとの関係は、依然史料不足で進んでいない。ただ「百科全書」中の4項目を飜訳し、注を付したものが近く刊行される(「ディドロ著作集」第3巻所収)。 また、ナポレオンに関する著書を1冊訳す機会があったので、これを足掛りに、ナポレオンとユダヤ人の問題(サンヘドリシ召集。コンシストワール設立などを含む)に本格的に取り組んで行きたい。さらに王政復古期,七月王政,第二共和政,第二帝政,第三共和政へと徐々に視野をひろげていく予定である。
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